産育休を取得しながら20年以上まきば園に貢献してくれている伊藤さんは、隼人会キッチンの中で一番長くキャリアを積んでいるスタッフです。
根岸陵園長からは「伊藤さんは最も信頼できる同僚の一人です。キャリアに裏付けられた、働く上での態度や姿勢には頭が下がります。だからと言って堅物というわけでもなく、冗談に即座に応じられるウィットに富んだ文武両道の人物だと思います」とコメントいただきました!
まきば園に就職するまでの経緯を教えてください。
短大を卒業後、直営キッチンのある有料老人ホームに就職しました。良い先輩に出会い楽しく働いていたのですが、3年経った頃に委託会社が入ることになり、給料の出どころが変わるだけ、と言われ良くわからないまま委託会社に転職しました。その後24歳の時に千葉へ異動し施設の立ち上げを学びました。その後も新規施設に異動して、キッチンの基盤を作って、半年したらまた新規施設に異動というのを繰り返しました。一人暮らしをして、知らない人の中に放り込まれ、相談できる人もいなかったのですが、頑張ろうと思ってふんばりました。
5年くらい経った時に病院で働くことになったのですが、そこでは仕事を共有してくれなかったり、自分が休みの日に職員会議をされていたり、というのが続き、疲弊して退職しました。実家に戻ってもふらふらしているわけにいかず、派遣会社に登録して紹介されたのがまきば園でした。最初は1か月半の契約だったけれど、派遣更新を提案してもらえて、そのまま働き続けました。一人目の子を出産した育休明けに直接雇用に切り替えてパートとして働くようになりました。
20年前、入職した時はまだアロハシャツじゃなかったんですが、明るい印象はその時からありました。会う人がみんな元気よく挨拶してくれたのを覚えています。老人ホーム特有のにおいもないし、清潔感があって、デイのスタッフが元気だったのが印象に残っています。
当時は食数が少なかったこともあり、毎日選択食でした。昼と夜、主菜副菜でそれぞれ2種類から選んでいただいていました。選べるって幸せなこと。選択食はとても喜ばれますね。前もって聞くというのも準備を考えると楽だけど、やっぱり食べる直前に聞きながら提供できるといいなと思います。お肉とお魚でなくても、焼き魚と煮魚とか、それでもいいんです。食数が増え選択食は終わったのですが、そこから副菜が温冷の2つになりました。4園の統一メニューにもなりましたが、イベントとして選択食やバイキングなどもできるのは楽しいですね。
やりがいやこだわりを教えてください。
自分が作った料理をお客様のもとに届けられることが喜びです。言葉とか表情とか、ダイレクトに意見が聞けたり、時には食事に対してお叱りを受けることもありますが、それも嬉しいです。あと、カウンターにお客様が並ばれて、会話しながらお食事を渡せるのも楽しいですね。自分がそういうことが嬉しいんだって、まきば園に来て気づけました。仕事の中で嫌いなことはほとんどないです。20年経つ今でも新しい発見がたくさんあります。
こだわりは、特に盛り付けには気を付けています。和え物でも煮物でも一度盛りはしません。一回お皿に乗せたら、二回目で量と形を調整します。例えば1回目でにんじんが入らなければ、2回目で入るようにして調整します。みなさんに同じ量、同じ見た目で提供できるよう心掛けています。
最初に就職したところの上司からもらった「私たちはたくさんの料理を作っているけれど、お客様にはそのうちのたったひとつが届く。どれが行ってもいいと思える食事を作りなさい」という教えを今でも大切にしています。どの食事が人生最後の食事になっても大丈夫と思えるように、自信持って提供できるように努力しています。
新人スタッフへメッセージをいただけますか。
新しく就職するスタッフを見ていると、若いって素晴らしいな、昇っていくしかないな、と見ていて嬉しくなります。私は横線…少し上がればいい方…(笑)特に最初の2~3年はものすごいスピードでどんどんできるようになっていきますよね。つい親心で、成長がすごく嬉しくなっちゃいます。
私はよく昔話をしちゃうんです。別に聞かれていないけど、私にしかできないことなので話しちゃいます。まきば園の歴史、変化、話すことで自分も改めて頑張ろうと思えるんです。キッチンで一番古い人間になったので、まきば園の語り部になりたいですね(笑)長く居る唯一の強みです。本当は飽き性なんだけれど、長く勤められているのは仕事が楽しいからだと思います。新しいスタッフにも、仕事に来るのが楽しいっていう気持ちを、ちょっとでもわかってもらえたら嬉しいですね。
この記事は2024年4月発行の「まきばNEWS 20号」より転載しています。