体育系の短大を卒業後、学童の指導員を経て、行田のまきば園に無資格未経験の介護職として就職した森さん。色々な部署を経験しながら、まきば園で26年の歴史を刻んできました。介護福祉士、介護支援専門員、衛生管理者、主任介護支援専門員の資格を取得し、現在は鴻巣まきば園にて室長兼居宅介護支援センターの管理職として働いています。
無資格未経験からスタートし、資格を取ろうと思った理由を教えてください。
就職見学の時はスタッフを見て「どうしてお年寄りの手を引いて歩いているんだろう」と疑問に思ったくらい知識がありませんでした。資格取得は、ぜんぜん違う畑から来た自分に自信をつけたいという想いと、同じ仕事をしていても資格がある人とない人は周りからの見え方が違うと思ったことが理由です。
無事に介護福祉士に合格し、次はケアマネということで、最初はとりあえず受けてみようと受験をして、もちろん落ちました。でも「ここでケアマネを取らないと次のステップには行けない!」と思ってユーキャンで頑張りました。
介護現場とケアマネの仕事の違いは感じますか。
はい。介護職は、目の前のお客様に対してどんなことをしてさしあげられるかを考える仕事ですが、ケアマネはそこにご家族様の想いもからんできます。本人が良くても家族に全然ちがう考えがある場合もあります。言葉の裏に簡単には見えない気持ちがある、そこが面白い部分ですね。
ケアマネ初心者の時に受け持った、いつも笑顔で出迎えてくれたお客様とご家族様のことは印象に残っています。大きな問題はないと判断していましたが、お客様が亡くなられた時にご家族様から「本当は辛かった。失禁が大変だったけれど、父のプライドを傷つけないように本人の前では言うことができなかった」と聞きました。深いところまで見られなかった、気付いてさしあげられなかった、それは後悔として残っています。
毎月の訪問は、一回一回が貴重な時間です。おひとりおひとりの気持ちを汲み取れるように、プラスワンの声掛けをして本心を引き出したいと思っています。ちょっと一言付け加えるだけで、いろいろな感情を引き出せます。行けば2時間でも話を聞くこともありますが、私たちにとっては大勢のお客様の中のひとりでも、お客様にとっては一か月に一回の貴重な時間です。気持ちをすべて聞き入れて、そこから課題を見つけていけるよう努力しています。
仕事と家庭の両立に悩むことはありませんでしたか。
仕事が大好きなんですが、結婚し子供が産まれ、両立をする難しさを感じた時は、辞めちゃった方がいいんじゃないかとまで考えたことがありました。その時は、夫と、自分の両親と時間を設けて話し合いました。家族は私が働くことを応援してくれましたし、誰かが我慢して窮屈になってしまうのではなく、家族それぞれができることをして、みんなでwin-winになるようにしました。
いま仕事を辞めないでいるってことは、これは好きな仕事なはず。仕事を続けていく上でマンネリを感じることもあるけれど、好きでやっているんだから、どうやったら続けられるのか考えたい。辞めるんじゃなく、続けるにはどうすればいいのか考えていこうと思ったんです。
家事育児は家族と分担するけれど、子供の行事関係は絶対に行くし、家に帰ったら子供との1時間を大事にする。そうしたら自然とバランスが取れてきました。仕事に夢中になる私も、子供にとっては普通のお母さんです。
これからの目標を教えてください。
まずは今の家庭や仕事の状況を変えずに健康でいたいです。でも、今の自分で満足しちゃいけないんだぞと常に思っているので、新しい資格にも挑戦したいと考えています。みんなが気持ちよく過ごすにはどうしたらいいのかなと考えながら、新しい学びを取り入れていきたいです。
私がこんなに長くまきば園で働けたのは色々な理由がありますが、特に、30代の時に節子理事長からもらった言葉が本当に嬉しかったことが支えになりました。その言葉のおかげで、ここで頑張って行きたいと思えたし、今でもそれがずっと残っています。言葉って大事で、伝え方も大事です。自分の一言で何かが変わるかもしれない。私も、その一言を大切にできるように、これからも頑張っていきます。
年を取らないとわからないこともたくさんあります。自分がこの先どうように進化していくのか楽しみです。
この記事は2022年10月発行の「まきばNEWS 14号」より転載しています。